「うちの給与って、どうやって決めてたっけ?」

この質問、実は多くの経営者の方が口にされます。

創業当初に「周りの会社の水準を参考に」「感覚的に」設定した給与。
そのまま長年使い続けている――そんな会社も少なくありません。

しかし、給与の設計は会社の未来を左右する“経営課題”のひとつです。
社員の成長スピード、定着率、さらには組織の一体感にまで影響を与えます。

給与は「会社の価値観」を映す鏡

基本給とは、社員がどんな成果を出しても、どんな状況でも
必ず支払わなければならない“雇用の基本責任”です。

つまり、会社が人を雇用した以上、最低限守るべき約束の部分。

給与は“会社が何を評価するか”を示すメッセージです。

逆に言えば、ここがあいまいだと、
社員に「何を頑張れば評価されるのか」が伝わりません。
評価基準が不透明な組織は、努力する人ほど疲弊してしまいます。

「安心」と「挑戦」を両立させる“土台”

最近では「成果主義」や「変動給型」を採用する企業も増えています。
確かに、成果に報いる仕組みは大切です。

成果が出たときに報酬が増える仕組みが“攻め”だとすれば、
基本給は社員の生活を支える“守り”の部分。

この「安心」と「挑戦」のバランスが取れてこそ、
社員は本気で仕事に向き合えるのです。

成果=報酬で総合的に評価する仕組み

給与設計では、基本給をベースに、
成果=報酬のインセンティブを組み合わせて
給与を設計しています。

つまり、会社としての最低限の責任(基本給)を明確にしたうえで、
社員一人ひとりの成果・貢献度を報酬として正当に評価する仕組みです。

たとえば、
・新しい業務や責任を担うと手当が加わる
・チーム成果や改善提案などに報奨を設ける

といったように、業務の「手当化」を進めることで、
「やれば報われる」環境を整え、
社員のやる気と成長意欲を引き出します。

このような仕組みづくりにより、
社員は“安心して働きながら挑戦できる、
バランスの取れた給与体系が実現します。

給与を見直すタイミングとは?

次のような変化があったときは、給与の見直しを検討するサインです。

・役職や役割が増えたのに給与体系が追いついていない

・同じ仕事でも入社時期や交渉力で金額がバラバラ

・管理職の昇給が止まり、若手とのバランスが崩れている など

こうした状態を放置すると、
いずれ「給与の不公平感」や「離職リスク」に直結します。
制度を変えるのは手間がかかりますが、放置のコストのほうが
大きいのです。

見直しのポイントは「役割 × 能力」

給与を見直す際の基本軸は、
「役割に応じた水準」と「個人の能力・スキルの蓄積」です。

たとえば、

担当者 → 主任 → 係長 → 課長 → 部長
といった役割ごとに基準額のレンジを設け、
その中で能力やスキルに応じて昇給していく仕組み。

こうすることで、昇格・昇給の基準が明確になり、
社員にとっても「自分の成長がどう給与に反映されるのか」
がわかります。

経営者が意識すべきは「納得感」

社員が給与に不満を持つ理由の多くは、“金額”そのものではありません。
「どうやって決まっているのか」が不透明だからです。

経営者として大切なのは、説明できる仕組みを持つこと。
「なぜこの基本給なのか」「何を基準に上がるのか」――
この説明ができれば、多少の差があっても納得感が生まれます。

納得感のある給与制度は、結果的に“人が辞めない会社”をつくります。

給与の見直しは「理念」を整える
作業でもある

給与制度の見直しというと、「数字をいじる仕事」と思われがちです。
しかし、実際には経営理念の再確認に近い作業です。

「うちはどんな人を評価し、どんな働き方を大切にしたいのか」
その答えを“給与”という形で表現するのが、基本給設計です。

だからこそ、給与制度を整えることは、経営の軸を整えることでもあります。

おわりに

給与は、単なる固定費ではなく、会社と社員をつなぐ“信頼の土台”です。

経営者が「給与」を経営の中心に据えると、
社員は「自分の働きが会社の成長に直結している」と感じるようになります。

「うちの給与は、何を基準にしているのか?」
この問いをきっかけに、会社の未来を見直してみてはいかがでしょうか。

■ 給与設計事務所からのご案内

私たち給与設計事務所では、
「経営理念に基づいた給与制度づくり」をサポートしています。

会社の方向性や人材育成の考え方を丁寧に伺いながら、
社員が納得し、経営者が説明できる“見える給与体系”を一緒に構築します。

「今の給与体系、なんとなく決めてきたかも…」
そう感じたときが、見直しのチャンスです。

制度づくりの第一歩として、まずはお気軽にご相談ください。

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