
2026年は、日本の労働基準法にとって**「約40年ぶりの大改正」**と称される、
極めて重要なターニングポイントとなります。
「4週4休の特例があるから、忙しい時期の連勤は仕方ない」
「休みの日でもチャットが飛んでくるのは当たり前」——。
こうした、これまでの日本の職場における「暗黙の了解」が、
2026年から法律によって明確に否定されます。
今回の改正は、単なるルールの変更ではありません。
「給与計算の根幹」と「社員の健康管理」を直結させる、
極めてインパクトの強い内容です。
2026年の労働法関連の改正は、項目によって
施行時期が異なります。特に注目されている
「労働基準法の大改正(14連勤禁止やインターバル義務化)」と、
既に決まっている
「安全衛生法等の改正」を分けて整理する必要があります。
結論から申し上げますと、**「今すぐ対応が必要なもの」と
「2026年内の国会審議を注視すべきもの」 **の2段構えで
構える必要があります。
既に施行が決定・有力視されている項目
これらは2026年中に順次施行されるスケジュールで動いています。
改正項目 施行(予定)時期 内容の要点
改正労働安全衛生法
2026年4月1日 個人事業主への安全対策、高年齢労働者の労災防止努力義務化など。
女性活躍推進法の改正
2026年4月1日 一般事業主行動計画の公表方法見直し、「えるぼしプラス」新設。
障害者雇用率の引き上げ
026年7月1日 法定雇用率が**2.5% → 2.7%**へ。対象事業主も拡大(37.5人以上)。
カスハラ防止の義務化
2026年10月頃 カスタマーハラスメント対策が企業の義務へ。
2週間に1回は必ず休め!「14日以上の連続勤務」が禁止へ
これまで「4週4休」という変形休日制の特例により、
理論上は最長48連勤という過酷な勤務が可能でした。
しかし、今回の改正では
**「14日以上の連続勤務」が法律で禁止**されます。
実務上の変化:
2週間(14日間)のうちに、必ず1日は休日を挟む必要があります。
給与設計への影響: 休日出勤手当の計算だけでなく、
「休日振替」の運用が非常にタイトになります。
「振替休日が溜まって消化できない」状態は、
即座に法違反(連勤違反)に直結するリスクとなります。
休息は権利。「勤務間インターバル制度」の義務化
これまで努力義務だった「勤務間インターバル制度」が、
ついに義務化される見通しです。
内容:
終業から翌日の始業までに、原則11時間(最低でも9時間)
の休息時間を確保しなければなりません。
コンサルの視点: 例えば、23時まで残業した場合、
翌朝の始業が9時だと休息は10時間。
これでは違反になる可能性があります。
盲点:
この場合、「始業時間を後ろにずらす」運用が必要になりますが、
**「ずらしたことで減った労働時間の給与をどう扱うか?」**という
新しい給与ルールの設計が急務となります。
「つながらない権利」の法制化
デジタル時代の新しい権利として、
**「勤務時間外の連絡拒否」**に関するガイドラインが策定、
あるいは明文化されます。
内容:
休日や深夜に届くメール・チャットに対し、
社員が反応しなくても不利益を被らないことを保障します。
組織への影響:
「いつでも連絡がつくこと」を評価の対象にしていた企業は、
評価制度そのものをアップデートしなければなりません。
【専門家が教える】あなたが気が付かない「2026年問題」の正体
ここからは、一般的なニュースでは語られない、人事コンサルタント
ならではの「裏の視点」をお伝えします。
① 「法定休日の特定」が義務化される怖さ
今回の改正案には「法定休日を事前に特定すること」が含まれています。
多くの企業は「日曜日が法定休日、土曜日は所定休日」と曖昧にして
きましたが、これが義務化されると、「どの日の休日出勤が35%増しで、
どの日が25%増しか」がガチガチに固定されます。
盲点:
「今月は忙しいから、法定休日をずらして割増賃金を安く抑えよう」
という恣意的な操作が一切不可能になります。
給与計算システムのロジックを根本から見直す必要があります。
② 「副業・兼業」の労働時間通算ルールの見直し
これまで企業を悩ませてきた「自社と他社の労働時間を合算して
割増賃金を払う」という複雑なルールが、「通算しない」方向で
調整されています。
一見、企業の負担が減るように見えますが、
これは**「社員がより自由に、際限なく副業できてしまう」**
ことを意味します。
自社での生産性が低下しないよう、給与ではなく「成果」で
管理する評価制度への移行が加速するでしょう。
③ 50人未満の事業場への「ストレスチェック」義務化
これまで免除されていた小規模事業場も対象になります。
**「ストレスチェックの結果が悪い部署=給与と役割の見直しが必要な部署」**
であるという点です。
メンタル不調の裏には、必ずと言っていいほど「報酬と負荷のアンバランス」
が隠れています。
2026年労働法改正に向けて、今すぐやるべきこと
就業規則の「休日規定」の総点検: 「4週4休」から
「2週2休(13連勤上限)」への書き換え。
勤怠システムのアップデート:
勤務間インターバルの不足を自動検知する機能の導入。
評価制度の「脱・時間」化: 長時間労働を美化せず、インターバルを遵守しながら
成果を出す管理職を評価する仕組みへの転換。
2026年の法改正は、単なるコンプライアンスの遵守ではなく、「選ばれる企業」
になるための構造改革です。
「選ばれる企業」は、特別なことではなく、日々の仕組みづくりの積み重ねから生まれます。
今こそ、自社の構造を見直す一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
